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静岡 [日誌]

20110310


 由比駅迄望月さんに送っていただいた後は、再び在来線に乗り藤枝駅迄戻りました。

 まずは、志太泉酒造さんです。

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 志太泉酒造さんでは、昨年から能登流の西原光志氏が杜氏を勤めます。それまでは南部流の杜氏さんが仕込を行っていました。様々な点で違いがあったようで、特に製麹方法にはかなりの変化があったようです。そのため、二年目の造りにあたっては、麹室をビニールカーテンで仕切って三層の温度差を得る試みを導入しました。


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 既に仕込みは終わっていて、上槽を控えた醪が何本か残っているだけです。しぼりたての艶やか照りがある新酒です。


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 見学の後は、幾つかお酒を利かせていただきました。字体が特徴的なラベルは焼津産山田錦を使用した純米吟醸酒です。明利酵母とHD−1を使って仕込んでいます。


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 今回一番良かったのは、広島県産八反で仕込んだ純米吟醸酒です。当たりは軟らかく、仄かな甘味と抱擁力のある酸味が感じられます。


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 志太泉さんのお酒の特徴の一つは仕込水の軟らかさが上げられます。間延びした味わいではなく、その軟らかさを活かした酒質には、弾力性のあるストラクチャーが求められます。何だか感覚的な言い方になってしまいますが、プルンとしたゼリーや寒天の食感に通じるものがあって、フニャフニャしているのではなく、膨らみのある柔らかさを活かす所に、その美味しさの存在感があるようです。
 二年目の西原杜氏、充分に力を発揮しているようです。

 その後は、志太泉社長である望月さんにホテル迄送っていただき、初日のお仕事は終わりです。夜は杉井社長も交えて3人で、藤枝駅前の居酒屋さんでお酒を楽しみました。業界の裏話も聞けたのですが、そのあたりはまた別の機会にしますね。

 翌日の午前中は杉井酒造さんに蔵の仕事のお手伝い。


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 杉井酒造さんでは焼酎や味醂も仕込むこともあり、酒造期間はゆったりと3クールに渡って仕込まれます。10月から11月と1月から2月、そして3月から4月と間に小休止を取りながらの長期戦です。今回はその二回目の小休止にあたり上槽前の醪が2本あるだけで、仕込は無しでした。お手伝いをさせていただいたのは、数日前に槽で搾った醪の粕剥がしです。袋から粕を出し、20キロづつに仕分けて行きます。新たに入った蔵人さんとともに1時間程作業をさせていただきました。

 その後は利き酒です。


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 今期のお酒は最初に出てきたきんの介のお酒がとても良かったのですが、米の出来が難しいと言われていた今期の仕込でしたので、その辺りを杉井社長に聞いていみると、きんの介の仕込に使った麹は9月末にから10月に掛けて室に引き込んだこともあり、前年のお米を使用していたそうです。山田錦は収穫が10月前半ですので、その時期だと間に合いませんので、新米は使えません。それが功を奏したのかどうか解りませんが、きんの介は杉井酒造さんの実力を再発見させてくれるお酒でした。
 ただし、粕歩合は50%を越える、蔵泣かせのお酒にはなったそうです。掛米は静岡県産のあいちのかおりを使用しています。

 その他にも20種類近く利かせていただきました。明治期に使われた多産性酵母を使用したという畦蔵維新は、かおりは穏やかながら骨太で地味に旨い味わいです。
 お燗が美味しいです。


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 その後は蔵の中を案内していただきました。


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 室にも今は何も無く、静かな佇まいです。


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 杉井酒造さんでは現在8割以上のお酒を、きもと造りと山廃仕込でもと立てしますが、酒毋育成は冷蔵庫の中で行います。


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 杉井社長と二人で中に入り、しばらくすると目眩を起こし始めました。アルコール発酵による炭酸ガスが充満していて、とっても危険な状態です。社長が「う〜ん、やばいなぁ」と言ってあわてて外に飛びだしました。

 酒毋を味見させていただきました。甘味はあまり無く、まさにブルガリアヨーグルトです。


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 こちらは今年新調したボイラーだそうです。年末くらいに怪しい動きをしていたので、仕込期間中に壊れると大変ということで、急遽購入したそうです。数百万円のお買い物だそうで、悩ましい限りです。
 

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 お昼になって杉井酒造さんを後にし、その後は菊川駅へと向かいましたが、こちらの報告はまた別の機会にします。
 望月社長、杉井社長、色々とお世話になりました。頑張って拡売に勤しみますね。


 志太泉酒造さんのお酒はこっちで、杉井酒造さんのお酒はこっちです。




























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