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杉錦 [入荷予定]

20110919

杉錦 純米吟醸酒

杉井酒造(静岡県藤枝市小石川町)


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 日本酒のラベルは解りにくいですね。



 杉井酒造さんが醸すこの純米吟醸酒は平成20醸造年度より「速醸もと」から「きもと造り」を行ったお酒に変わりました。特に記載内容には変更はありませんが、これは酒毋の製造方法が「必要」ではなく「任意」による記載事項だからです。
 一方で味わいは以前のままに、肌理の細かい酸をまとった柔らかな飲み口で、味が多いだけで雑味ばかりのきもと造りのお酒とは一線を画しています。

 国税庁によって定められた清酒ラベルへの主な必要記載事項は、「製造者の氏名又は名称」「製造場の所在地」「容器の容量」「清酒」「アルコール分」「原材料名」「製造時期」等があります。「純米酒」や「吟醸酒」といった「特定名称」と呼ばれる表記は任意の記載事項にあたり特に表記の義務はありませんが、表示するにあたっての必要な条件があります。これは逆の見方をすると、それらの要件を満たさずに表記することはしてはいけませんが、あえて記載をする必要もないということです。精米歩合が50%以下でも大吟醸ではなく吟醸酒と表記することも同じような感覚といえますね。
 ただ、このことが清酒のラベルを解りにくくしている一因になってもいて、任意記載事項はそれらの表記を満たす必要条件をその中に自ずと含んでいるという前提があります。つまり、特定名称酒には、使用するお米の等級や麹歩合、醸造アルコールの使用量に規定があり、記載はされていませんがそれらを必ず満たしていると見なされています。全ての人が専門的な情報を必要としてお酒を飲むわけではないので、沢山のことをラベルに記載する必要はないのですが、一方で沢山のことが書かれているものにはより多くのこだわりや美味しさが詰まっているとも考えてしまいがちです。書くべきかはたまた書かざるべきかは、造り手の哲学にもよるのでしょう。

 杉井酒造さんでは数年前からの山廃仕込ときもと造りへの傾倒から、明治期以前のお酒の在り様に関して強い意識をもつようになっています。生酒の出荷を控えるようになったのもその一つで、今の時代とは違い冷蔵設備が無い過去の時代に、どのようにしてお酒を保存し飲んでいたかということを考えさせてくれます。暑い時期のお酒としてすっきりとしたものを冷やして飲むのではなく、濃潤な酸味と甘味のあるお酒を冷やして飲むという提案もそのひとつといえますね。

 現代では当たり前のようになった乳酸添加という速醸もとの技術の意味を、「速醸もと=画一的、きもと造り=個性的」の様な図式でもって一方的に批判するのではなく、きもと造りから速醸もとへの転換で起った変化を再評価して行く上でも、杉井社長の試みは挑戦的でありますし、結果として出来上がったお酒も凄みのある味わいとなっています。

 くだんのお酒はこちらからご注文ができます。

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