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河原酢造 [入荷予定]

福井県大野市にある河原酢造さんに見学に行ってきました。
2017年三月のことです。

写真は酢酸発酵中の液面です。

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 お酢の製造現場を見学するのは初めてのことになります。

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河原酢造さんの米酢は小容量のものは取り扱いをしていましが、最近になって飲食店さんからの要望もあり一升瓶での在庫を始めています。

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現在は二種類の米酢を製造していて、メインとなるのは「老梅酢」です。有機栽培をされた原料米を使用して仕込み、お酢としての製造石数は800石程度になります。原料米のうち三分の1程度を自社で賄い、米酢の製造にあたっては純米酒をまず醸造してから酢酸発酵をさせています。全量を純米酒から造る米酢メーカーは現在は全国に二社程度だそうですね。また酢酸発酵する際は伝統的な静置発酵と呼ばれる方法を行い時間や手間を惜しまず製造にあたっています。

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原料米は全て自社精米を行い、90%を目処にできるだけ精白しない状態で使うことを目指しています。精米92%で仕込みに回すものもあるそうですが、削り具合の判断は主に目視で行っています。

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洗米はスパイラル式の機械を使用し、給水に関しては精白が低いこともありタンクで一晩くらい置きます。翌朝にボイラーを使った甑でお米を蒸し、放冷機に通した後は用途に応じて掛米はタンクに麹米は室に引き込まれます。製麹は京都の菱六さんの種麹を用いて二昼夜を掛け総破精型に仕上げていきます。出麹したものはゆっくりと冷ますのではなく先ほどに使用した放冷機で急冷をしますが、時間をかけると湿気から匂いが来る感じがして好ましくないそうです。

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酒母は速醸酛で協会9号酵母で立てます。仕込みは1500キロの量で、添え、踊り、仲、留、留、と五日間に掛けて行います。実はこの日本酒醸造にあたっては12月から3月に掛けての寒造りを河原さんともう一人の契約農家の農家の方と二人でこなしているそうで、製造量は300石の純米酒を20本の醪から取っています。その生産量を二人足らずの人数で製造をするのには驚きですが、随所にある工夫と合理化、同じスペックのものを造り続ける単純性から成せる結果なのでしょう。留作業を二回に分けて行うのもそのt前ですね。甑の容量と麹作業の可能な範囲を設計しています。また清酒蔵の吟醸造りのようにナーバスな温度管理がいらないのもその一つの条件ではあります。醪期間は3週間ほどでヤブタ式で上槽しています。出来上がる純米酒は日本酒度+18前後の超辛口で、酸は2.5ぐらいでそれほどに高くはならないそうです。このサイクルを一週間毎に醪を留めておよそ4ヶ月ほどの日本酒醸造を行います。

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貯蔵用に用いるタンクはFrpと呼ばれる繊維強化プラスチックのものを使用しています。上槽後の清酒は生原酒のままで貯蔵をされますが、およそ三分の1程のお酢が加えられてタンクで置かれています。

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数年前に移転してきた現在の蔵の全景はやや細長い二棟の建物が縦列に並んでいます。周りは田んぼが広がり円形には雪を被る山系が見えています。
二つに分かれた建物は清酒蔵と酢造蔵に分けられているためです。清酒醪が酢酸菌に侵されてはダメですし、酢を仕込む建物には鉄筋素材を持ちられないためです。
この辺りの写真が無いのは失態ですね。
下はヤブタ式の日本酒醪圧搾機です。

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先程の行程を終えたもの純米酒がもう一つの酢醸造をを行う棟に移されますが、実際の酢酸発酵に向けてはアルコール度数を5%まで薄めたものを使用します。酢酸菌の植え付けは発酵中の醪から掬い取って行います。まるで清酒酒母のさし酛のようですね。
 
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酢酸菌は好気性のため醪上部の空気に触れたところでしか発酵をしていません。酢酸が生成されると下部の純米酒中のアルコール成分と滞留して入れ替わり順次酢酸発酵が進んでいきます。およそ三ヶ月程度がかかるそうですが特に櫂入れなどはなく自然に行われます。これを「静置発酵」と呼びます。大手の簡易化された製造方法は空気をタンクに送り込み循環をさせる方法があり、これだと酢酸発酵は一日で終わるそうです。

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酢酸菌の発酵は熱の排出を伴いタンク内は30℃以上あるそうで、静置発酵中の液面は手をかざすとかなり温かいです。温度管理は全くいらないそうですが、夏場よりも冬場の方が発酵は順調に進みます。外気温が高い時期は放熱が上手くいかず醪がぐずつくので、気温の低い冬場に少し温度を上げてかスタート時の発酵を促してあげる方が、後は対流で循環をして上手く行くそうです。
上槽は簡単な濾過器を通して行いその後は加熱処理をして順次に瓶詰めから出荷に至ります。特に貯蔵熟成期間は取っていません。

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社員7名で製造から出荷管理と事務作業を行っていて、とてもシンプルな物作りの形を見せられました。感動です。原料米の供給は自社で30%以上ですから恐ろしいぐらいの完成度です。
河原社長曰く「お酢は高度な調味料です」と仰っていました。確かに「酸味」は官能に対して単純な喜びをもたらせてはくれませんね。甘みや他の旨味とのバランスの中で存在をしています。エッジを縁取る調味料といったとこでしょうか。私自身もこれからもっとお酢の良さを再発見しているようにしたいです。

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