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垂直方向と水平方向のお酒選び [雑記]

20081010

自分がプライベートで飲むお酒を選ぶ際に、注意している大切なことは、
どういう流れでもって食事の時間を過ごすかということに、
一番の重きを置くというものです。
料理とお酒の組み合わせがどうなるかという、
ワインでいう所のマリアージュ的観点からは、
それほど重要視していないといえるかもしれません。

寒い季節におでんや鍋物をつつく時に、燗酒を選ぶことは多いですが、
別によく冷えたビールや白ワイン、
あるいは冷たくした吟醸酒が合わないわけではありません。
温かい食べ物を口にし、冷やした飲み物で口中をリセットするのは、
それはそれで喜びではあります。

ワインの世界でいうマリアージュという言葉を、日本酒にも持ち込んできて、
食との相性、マッチングを謳ったりしますが、あまり私の心は動きません。
確かに、お客様への提案としては、淡麗で綺麗な辛口のお酒には白身のお魚を、
あるいは、しっかりとしたお肉料理には酸のパキリとあるこくのある純米酒系のものを、
更には、ジビエには生もと系のこくのあるお酒をと、したり顔で勧めてみたりもします。
けれども、食事の最初から最後まで、平目にかじり付いていたり、
油っぽい牛脂を貪りつづけているはずはなくて、
お造りの後にはコロッケを食べたり、
お肉の前にはさっぱりとしたお酢の物なんかにお箸を伸ばしているかもしれません。
単品の料理に対してお酒を選んでしまうと、
出番はごくわずかなことなのにと、思ったりします。

かといって、味わいの相性を全く無視して、
料理とお酒の組み合わせを選んでしまっているわけではなく、
最悪な組み合わせを避けつつ、料理とお酒の流れを組み合わせて行くことは必要です。

このことを少しばかり言い換えてみると、
食べる料理の味わいの直接の相性でもってお酒を選ぶ行為は、
料理に対して、「垂直方向」に取り合わせる意識が強く働いていて、
逆に、私自身は、どちらかというと「水平方向」に、
食事の時間をどう作っていくかという方にお酒選びの重心が置かれています。

性格的なものかもしれないのですが、
如何ともし難い私の欠点の一つに、
向上心や競争心の意欲が非常に低いというのがあって、
どちらかと言えば人との協調、横並びを重視する傾向にあります。

このワインにはこの料理を、
あるいはこれを食べるとあのお酒が飲みたくなるといった、
求心的に心が動くことは少なくて、
なので、こんな店主がするお酒選びは、
お客様にとっては押しの弱い、地味な提案に思えるもしれませんね。


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