櫛羅

20100131

櫛羅純米無濾過生原酒2009　千代酒造(奈良県御所市)



とある人が、酒造りは農業であるといっでいましたが、
それは、現代において再構築される在り方だと考えています。
米造りそのものは確かに農業ですが、
基本的な酒造りは労働集約性が高い手工業品とはいえないでしょうか。
明治期における日本の近代化を準備するという意味合いにおいて、
日本酒産業は、第二次産業といえます。

ただ、日本酒産業が近代化とともに、更に大規模な工業化をすることにより、
美味しさのあるべき姿を見失ってしまったともいえるのでしょう。
その意味において、日本酒造りを米造りまで立ちかえることは、
新しい日本酒の美味しさを求めて再発見されているのだと思います。

実は、これは日本のワイン業界にも言えて、
明治の殖産興業の一環として奨励された時点では、
ワイン造りは畑での仕事でしたが、
折からのフィロキセラの被害により、壊滅的な打撃を受けます。
現代まで続くワイン造りは、大手企業による工業製品的側面が強く、
畑での仕事が見直され出したのは、
海外からの情報が詳しく入るようになってここ数十年のことです。

新しい日本酒の価値を高める試みとして、この櫛羅のお酒も捉えられるべきでしょう。
上品な甘味と柔らかな酸味に支えられたこの生原酒に癒されてください。

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