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杉錦 [入荷予定]

20111115

杉錦きもと純米中取り原酒「きんの介」

杉井酒造(静岡県藤枝市)


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 杉井酒造さんから今年度の新酒の案内が届きました。
(きんの介の予約はこちらからどうぞ)

 続きからは以前書いた杉井酒造さんの紹介分です。





 杉錦を醸す杉井酒造さんは、静岡県藤枝市小石川町に広がる住宅街の一画にあります。
 創業は天保13年、西暦でいうと1842年となり、およそ170年の歴史を持ちます。現当主である杉井均乃介氏で6代目にあたります。

 使用するお米は、兵庫県産と静岡県産の山田錦を中心に、滋賀県産の玉栄や地元の酒造好適米である誉富士、その他には、あいちのかおりやひとめぼれといった飯米も用います。
 仕込水には、敷地内にある井戸水を使用しています。
 現社長である杉井均乃介氏が杜氏を勤め、造りを専門にする蔵人が二人、繁盛期には営業を主する社員と季節雇いの人が蔵に入って仕込みを手伝います。

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 作業行程それぞれをが丁寧な手作業で行われており、洗米は特別本醸造酒クラスから10キロづつ小分けにして洗っています。蒸しはボイラーを使った昔ながらの甑を使っています。
 製麹も麹蓋を使った細かい手作業が前提にされる一方、麹の力値を図る分光光度計が導入されていて、科学的な数値の裏付けをするなど、臨機応変に対応しています。
 生もと系酒母の育成はプレハブ冷蔵庫の中で行われ、使用される酵母は静岡酵母と協会7号を中心に用いています。
 上槽は特定名称酒クラスから槽を使って行われていて、粕歩合の高い贅沢な搾りをしています。
 一時は全く生酒を出荷せず、現在も僅かのみの蔵出しです。活性炭はほとんどのお酒で使用していません。
 糖類添加酒も無しで、特定名称酒のみの製造です。

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 もともと静岡県らしい吟醸酒を中心とした造りをしていましたが、2003年から山廃仕込、翌年に生もと造りを始め、現在は9割近いお酒を生もと系酒母で仕込みます。
 清酒の他に味醂も製造していて、醸造時に使う米焼酎は自社で蒸留するこだわりで、最近では、その蒸留器を使った米焼酎や芋焼酎も製品化しています。

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 製品構成として中心となるお酒は2種類で、滋賀県産の玉栄を使った山廃仕込と、静岡県産の山田錦を使用した生もと造りの特別純米酒になります。
 高価格帯のものとしては、生もと造りの純米大吟醸酒があり、続いて純米吟醸酒がありますが、これも既に生もと造りとなっておりますが特段の記載がなく乳酸無添加とのみラベルにあります。
 速醸もとで仕込んだ大吟醸酒もありますが、こちらは鑑評会出品のための意味合いが強いようです。
 低価格帯のものとしては、飯米を使った山廃仕込の本醸造酒と純米酒があり、特別本醸造酒は現在も速醸もとで仕込みます。

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 杉井社長の醸すお酒の凄みはおそらく社長の意図がほぼ完璧にお酒に表現されていることです。驚く様な酸を纏ったお酒もありますが、これも社長からすれば狙い通りの酒質のに違いなく、確信犯的に行っているとも言えるはずです。
 ただ、設計通りに醸すことができる杉錦の大吟醸酒には、鑑評会で高評価を受けるような完全性はあっても、そこかしら心を打つことが少ない様に思います。それよりも感動や感銘という観点からは山廃仕込やきもと造りをした強い酸の表現されたお酒の方が、私の心を揺さぶるものがあります。
 鑑評会での金賞受賞という目的は技術研鑽のためには重要な役割を果たしてはいたのでしょうが、「美味しいお酒とは何か」という問いに対する答えに至るための道標とはなってはこなかった様に思っています。
 現代におけるモノ造りが向かう方向性に光を放ってくれるのが杉錦のお酒だとは言い過ぎでしょうか。

杉井酒造のホームページ
杉錦をお買い求めの方


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